労働・社会保険

 
 
労災保険を使わないリスク

 労働災害というのは次のような仕組みであることはよく知られています。すなわち

@ 従業員が仕事中にケガをする

A 会社に補償義務が生じる

B 会社の補償義務を労災保    険が肩代わりする

C 従業員は労災保険から給付が受けられる

という仕組みです。

 上記の「会社の補償義務」は、労働基準法で定めています。つまり業務上の傷病には、労働基準法における会社の補償義務があり、労災保険を適用させるさせないということとは本来的に関係ないのです。

 業務上災害における労働基準法上の会社の補償義務の要点を説明しますと次のようになります。

●療養補償 療養に必要な費用を補償

●休業補償 休業中の賃金額の60%を補償

●障害補償 残った障害の程度に応じ、平均賃金(賃金の1日分相当)の50日〜1340日分を補償

●遺族補償 平均賃金の1000日分を補償

●葬祭料 平均賃金の60日分を補償

 以上の労基法上の会社の補償義務は、それぞれに対応する労災保険の給付が行われることにより、免除されます(労基法第84条)。すなわち労災保険を適用しないとすれば、その補償義務を会社がそのまま負うことになります。仮に従業員が「労災保険を使えないなら治療費を出して欲しい」と申出があった場合、労働災害であることが事実であるとすれば、会社は拒否することができないのです。したがって、親会社などからの受注などに差し支えるという理由で労災事故を隠すことは、大きなリスクが潜んでいることを理解しておく必要があります。

 


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